新聞報道より 07/12/23 朝日新聞


平成19年12月23日 朝日新聞 第27面より

 

【以下 記事文面】

07回顧 ― 長生郡市の合併協議
税金費やし また破綻


 古びた町役場――市民グループ「未来の上総一宮をつくる会」の会員玉川孫一郎さん (61)は11月、福島県矢祭町を訪れた。役場庁舎を見ながら子どものころに通った小学校舎 を思い出した。スリッパに履き替えて中にはいると、磨かれた床板が目に入った。
 玉川さんの地元、一宮町の庁舎は築40年。矢祭町より6年新しい。「建て直しはやむを 得ないと思っていたが、補強して使えるなら、と考え直した」という。
 一宮町を含む長生郡7市町村の合併協議が9月に破綻した。04年に続き2度目だ。玉川さ んは市民グループの一員として住民の目で協議を見つめてきた。茂原市13人、6町村各5人 ら44人の委員での協議会を傍聴するうち、協議会そのものへの疑問が出てきた。
 第1回協議会。「傍聴者の感想を募っては」と委員からの提案が賛成4人で否決された。 だが第2回協議会では採決せずに一転した。
 実は協議会前、7首長による会議で方針転換が合意されていた。首長の会議は非公開で、 議事録、録音もない。「つくる会」の要望で発言要旨の会議録は公開された。
 玉川さんは、一宮町生まれ。県職員になり、山武支庁職員、土地開発公社企業用地課長 などに就いた。都市部から引っ越してきた「新住民」が半数近い「つくる会」に途中から 参加。「『町や議員にお任せ』が町の“伝統”だったが、『みんなで考えよう』の呼びか けは波長が合った」
 2回目の破綻後の今年10月、同町でつくる会が検証の集いを開いた。
 玉川さんは壇上でマイクを握り、破綻の要因を分析してみせた。新市の基本計画(10年 間)に前協議会と同じ800億円の事業費が盛り込まれたのに、裏付けになる財政計画の事業 費は490億円。うち100億円は茂原市土地開発公社の債務償還だ。「10の収入に20使う仕組 みだった」
 矢祭町は01年、全国に先駆けて「合併しない宣言」をした町。議員報酬を月額制から日 当制に変えることで、議員人件費を3分の1以下に減らす取り組みも始まる。「人員削減は 合併の専売特許だと思っていたが、自立を目指す町の方が無駄を減らしている」。
 つくる会は「人件費を含め2協議会に2億円の税金が使われた」と試算する。2度の破綻 の教訓をどう生かすのか。模索が続く。


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